現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

漢辞海第三版をちらちらと読む

漢辞海 第三版

3時に確認したらちょうどいい感じだったので、催芽機をとめる。
6時から播種の準備をして、播種。本当ならすぐに苗代に出すのだが、今日は午後に強風と激しい雨という予報なので、苗代に出すのはやめる。
午後は緑肥にする菜の花を田んぼに鋤き込みました。もう少し土が乾いてからと思っていましたが、どうも天気が安定しないので、一気に鋤き込みました。風はずっと強かったのですが、鋤き込み終わったところで激しい雨となりました。やれやれ。ぎりぎりセーフ。


もう4月も終わろうとしていますが、この二月に『漢辞海 第三版』が出ています。三月から机の上においてときどき引いたりちらちら読んだりしています。2年前の2009年の2月18日のブログに「『全訳 漢辞海 第二版』をちらちらと読む」と題して、この辞書から感じたことを走り書きしました。この辞書の素晴らしさの基本はそちらを読んでいただくとして、新しい第3版もちらちらと読んでいます。第三版の序には11項目の改訂課題があげられていますが、新しい常用漢字表人名用漢字など最新の現代漢字情報に対応したというところが大きなところで、さらに細かな目の行き届いた改訂でますます辞書としての信頼性や使いやすさが高まったということでしょう。辞書とか教科書というものは信頼性と使いやすさが第一番の眼目ですから、この辞書を普段から愛用するものとしてはうれしいかぎりです。


今回の改訂の僕の個人的な注目点は、センター試験に出題された問題から例文を引いてきている「漢文読解の基礎」と「訓読のための日本語文法」でしょうか。「漢文読解の基礎」が高校生のみなさんが大学合格をめざして勉強をする手助けになるのはもちろんですが、普通の大人が普通に漢文や中国語に接するとき(いったいそれはどんな時だろうとも思いますが)のよい入門になるのは間違いないのです。ただ文字が辞書の文字と同じで小さいので、普通の大人はこれで根気よく勉強する気にはなれませんが、高校生なら大丈夫でしょうか。日本文化の中の漢文という視点ではなく漢語(中国語)の視点で漢文読解の基礎が解説されているので、合理的というかすっきりとしてとてもよくわかります。
三省堂さんはこの画期的な付録を元にして、教科書に載っているような有名な古典ではなく、それほど知られてはいないけれども大人が読んでおもしろい古漢語の短い文章を題材に(皮肉あり、比喩あり、エロスあり、夢あり、幻想あり、遊びあり、戦さあり、危機があり、処世訓があり、そういうのってたくさんあるような気もしているのですが)、中国語や古漢語の文法も解説しつつ、中国古典の奥行きのただならぬ深さを紹介するような本ができないかなぁ、と思ったりします。どうなんでしょう。


それからもう一つ新しい付録「訓読のための日本語文法」。これはいままであるようでなかった解説のような気がします。高校の古典で習った古文と漢文。漢文も訓読して書き下し文になれば日本語の文語文なのですが、どこかが違う。古典の文法書には古文の文法も漢文の訓読の文法も、同列に載ってあります。文法としては同じなのでしょうけれど、使われる言葉が違うんですよね。古文の授業では平安時代鎌倉時代の作品が中心になりますから、漢文や書き下し文は読めて、その言い回しの特徴は感じていても、なかなかはっきり違いを説明できませんが、明快な解説でうれしくありがたいです。


二ヶ月ほどちらちらと読んできて、漢文(古漢語)の研究をしているような人や高校の国語の先生はもちろんですが、大学生も高校生も、真面目にちゃんと勉強しようとしている人には最適の辞書、勉強しようとしている人をもっともサポートしてくれる辞書という感じはやっぱり揺るぎないです。
と、書いてきて、僕も勉強しなくてはなぁ、と思いつつ、『聊斎志異』や『顔氏家訓』、『清閟閣集』に載っていた倪雲林の潔癖症の逸話など、あれこれ頭に浮かんだのですが、雨の日の百姓の読み物としては、ちょっと気取りすぎじゃないか?とニンマリしているところです(笑)。