現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

終日、台風。

朝起きたら、ってまだ薄暗かったのだが、雨風の音で起きだして、2階の部屋の窓の雨戸を閉めました。新聞をとりにでると、家の裏の川の水位が異常に上がって濁っている。妙なゴミまで流れているではありませんか。これはいかん、と思って田んぼを一回りし、農機具小屋のシャッターも確認してきた。
ぐるっと回って帰ってくると、家の裏の川の水位もいつも通りぐらいに下がって水も澄んできていた。さっきのはなんだったんだ?だれかが用水路のバルブを台風を心配して開け閉めしたか?
昼前にはいよいよだんだん風も強くなってきたので、一階の南側の1枚ガラスのところに重くて大きい雨戸を四枚、作業所から出してきてはめる。
午後は次男の中学校の保護者会にいく。長女の高校の面談と重なったのだが、長女の方は奥さんにいってもらった。
みな成績はともかく、休まず元気に通ってくれているのでありがたい。


そんなこんなで、終日、台風。長い時間吹き荒れている。


あ、それからライカのレンズが手作りされている様子の動画を見つけた。うーむ。カッコいいです。


渡辺憲司『時に海を見よ』(双葉社)読了。渡辺憲司先生は立教新座中学高等学校の校長先生で、東日本大震災で卒業式が中止になったので、卒業生へ送るメッセージをネットで公開したら、それがツイッターで評判になり全国に広まりました。僕もどうやって知ったのか忘れましたが、ネットで読んだことを覚えています。その後一ヶ月くらい前だったか、NHKラジオの「ラジオビタミン」のときめきインタビューに生出演されました。それを田んぼ仕事しながら、軽トラのラジオで聴いたのでした。
生の放送です。かつての教え子たちから先生が放送中に不規則発言をするのではないか、と心配するメールがNHKに次々と届いたそうです(笑)。話しぶりから伝わってくる印象が素晴らしかった。あたたかく、大きく、懐が深い、そんな感じ。
本の内容はサブタイトルが “これからの日本を生きる君に贈る” ですから、基本的に若者向けです。言葉を信じ、孤独を見つめて、夢を抱き、紳士たれ、といういかにも学校の先生らしい言葉が並んでいますから、新鮮さはないですが、おっしゃっていることに嫌みがでない。だからそのぶんすっと心にしみる文章でした。


僕が中学生の頃、たぶん天声人語を読んで聞きかじった知識だと思うのだが、英国の紳士の定義はたくさんあるのだと。その中のひとつは植物の名前をたくさん知っている、というのもあるんだ。というような文章を読んだ。まあ大きな邸に英国式の庭園というのがあり、そこに庭師もいて花咲く草木が管理されているから、そんな環境の中で育つと自然と草花、草木の名前を覚えているということなのだろうと思った。
田舎の中学生にはなにか「紳士」という言葉がとてつもなくキラキラしたものに思えたんだろう。一時、植物の名前を覚えようとしたが、三日坊主で終わってしまった。今では農業という植物関係の仕事についているのだが、まだまだなかなか紳士にはなれそうもない。