現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

小寒とお立ち歌

今日は旧暦では12月13日、うーむ。で、小寒です。今日から寒の入りである。


このブログへのアクセスログを見ていたら、「内山節 富山」で検索をかけて2009年の11月23日付のブログを読んでいかれた方があることがわかった。たぶん検索された方の期待には応えられていないと思うけれども、その日のブログには内山節氏が中日新聞に寄せた『互いの労働を尊重できない不幸』という文章の要約を載せている。その方はこの文章を読んでくださっただろうか。いや、僕は何度か読み返している好きな文章だが、内山氏は哲学者でもあるから後半ちょっと難しいところもある文章なのだ。でも氏の言わんとするところは十二分に伝わってくるよい文章だと思っている。
お互いの労働の価値を尊重する社会というのは、その人の労働を評価する社会、労働しているその人を評価する社会、ということになるのだろう。正月に帰ってきた弟と飲んで話をしていた時に、「評価というのは他人にしかできんことやからなぁ」ということを言われたのだが、もう酔っぱらっていたので、どういう脈絡でそういう話になったのかもわからないのだが、ずいぶん堅苦しそうな、難しい話をしていたものだが、評価というのは、そういうものかも知れん、と思ったことでした。
学校を出て、就職すれば、仕事をする、労働をするということに人生の時間の大半を使うことになる。
映画『おくりびと』の納棺師の例をまつまでもなく、人の嫌がる仕事、キツイ仕事、汚れる仕事と見えることがあっても、めぐりめぐって(いやそんなにめぐらなくても)、人々の暮らしを支え、暮らしに役立つ仕事であり、人によろこばれる仕事であることは間違いない。
大新聞は今はあまりTPPのことを報道しないが、報道が喧しくなりかかってきた頃、新聞の下の方にある週刊誌の広告欄に「○○、△△、農家、□□ 日本を悪くしているのはこいつらだ!」というような見出しが躍っていた。四つだったか、五つだったか、職業が列記してある中に農家もあった。もちろん週刊誌の名前は忘れずにいる。どんな記者が書いたのか確かめてやろうかとも思ったが、それはせずにおいた。書いた記者は食事の前に「いただきます」と言っているのか、いないのか。
とにもかくにも、人によろこばれる、ということをひとしきり考えた一月六日でした。


考えていたら、ランダムに鳴らしているiTunesが斉藤トモ子の「お立ち歌」を流してくれた。
   一、おまえお立ちか お名残惜しい 名残り情の くくみ酒
   二、今日の目出度い 花嫁すがた 親も見とれて うれし泣き
   三、またも来るから 身を大切に はやり風邪など ひかぬように
   四、今日は日もよし 天気もよいし 七福神の お酒盛り
   五、目出度嬉しや 思うこと叶うた 末は鶴亀 五葉の松
   六、目出度めでたの 若松さまよ 枝も栄える 葉も茂る
   七、泣いてくれるな 今立つ時に わしの気持ちが 又鈍る
娘を嫁に出す親の心境などまだわかりもしないが、めでたくも切なくもあるのであろうかとその節回しをききつつ思うことでありました。
あ、動画は斉藤トモ子さんではなくて、全国大会の1コマです。