現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

長女の卒業と糸井重里のラジオのインタビュー番組

米ぬかをまいた畑

今日から三月。弥生です。旧暦ではまだ如月。2月9日ですが。
画像はうちの畑に母が米ぬかをまいたところ。米ぬかそのものがいい肥料になりますし、土の中の微生物をふやします。このあとナタネの油粕や石灰とともに土に混ぜ込みます。


今日は長女の高校の卒業式。うれしー!とか、高兴!とか、イェー!とか、そういう声を僕が上げることはもちろんないが、しみじみうれしさというか喜びは胸の奥にあります。
午後は奥さんの実家にいって卒業の報告といただいたお祝いのお礼やらにいってきたようです。
テレビのニュースで被災地の学校の卒業式などいくつか厳しい状況を乗り越えての卒業を伝えていました。娘もいろいろな人にお世話になりつつ大きくなってきたのだが、まずもってお世話になった先生方に感謝申し上げているところです。


昔、「若者たちの神々」というページが「朝日ジャーナル」にあってときどき読んでいました。もちろん僕がまだ若者だった頃です。ウィキペディアで調べたら1984年の四月からの企画らしいですね。登場した神々もずらっと紹介されています。つらつら眺めてみると、うーむ。30年近く経っても抜群の人気を持っている人もいますが、すでに神々の椅子からおりているようにみえる方もたくさんいらっしゃいますし、すでに亡くなっている方もいますね。浅田彰糸井重里藤原新也坂本龍一森田芳光如月小春日比野克彦島田雅彦野田秀樹片山敬済高橋源一郎橋本治などは読んだ記憶があります。
僕も若かったわけで、それなりに崇めていたところもありました。坂本龍一は今でも大好きだし、藤原新也は写真も文章も素晴らしくて今でも気になっているし、糸井重里「ほぼ日」を毎日じゃないけれど、ときどきのぞいたりしています。
NHKの深夜に糸井重里が出てインタビューを受けたラジオ番組が先日放送されたそうです。僕はその番組は知らなかったのですが、HPからその内容が聞けるようになっていますね。合計すると一時間以上になりますから、時間のある時にしか聞けませんが、聞いてみましたが、刺激的で面白く聞くことができました。基本的には東日本大震災がらみの話が中心ですが、「ほぼ日」のことも出てきます。インタビューをしているNHKの女性アナウンサーも糸井重里のことをよく知っていたり調べていたりして、よいインタビューだと思いました。


元々は神々たちに連なったコピーライターですから、って今でもコピーライターですが、商品の事について語る糸井重里の話もお米をネット販売している辻井農園にとって興味深いところでもありました。ま「ほぼ日」で売られている商品を眺めてみれば言われなくてもよく判る話ではありますが。


たとえば。


「商品とか市場の側から考えると、あんまり欲しくないけれど、こんなものだろうなって思って買った商品だらけなんですよ、家の中が。ところが、あれ欲しい、ってものが10倍の値段してても買って、それを壊したら大変って思ってても、壊しちゃったとかって言うのが暮らしというものではないかな。“ううん、いいの、壊れても”っていうのに囲まれているのはやだなぁ、っていう気持ち。」
「大規模な工場でつくるのではなくって、それこそ家内制手工業に近いようなもので、愛着を媒介にした取引ってのが、この先、東北と全国でやれるような気がする。」
「買ったら絶対になくしたくない一着の服。そういう服には広告はいらないし、広告なんてされていなくても、どうしても欲しい。そういうを手に入れられればうれしいし、そういうものは作る方もうれしい。自分が欲しいモノって愛着が欲しかったんだなぁ、って分かったけど、それに見合った商品ってなかなかなかった。愛着に見合った商品。」
「愛着のもとになったものって、なんだろうって思ったら、人の思いだったり、美しさだったり、そういうもの。飛び抜けたものだったり。そんなもの売れないよ、って思ってても、僕が社長なら作らせますよね。その方が結果的に売れるから。」


こういう発想は糸井重里が80年代前半に西武系列で展開していたコピーと繋がるものですね。
辻井農園のお米も皆さんの愛着に応えられる、愛着に見合った商品だと自負しておりますが、皆さんのそういう信頼や信用に応えられるように努力を続けていかねばなりませんな。
長女が高校を卒業した夜に美味しいビールを飲みつつ、そんなことに思いを馳せる春なのでした。