現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

七草だぁ。


今朝も冷え込んで、レノン号の散歩につきあったときは、田んぼも一面、霜で真っ白でした。
午前中はお米の精米や農協へ書類を提出と融資してもらえるのかと相談をしにいったり。午後は集金したのを預金したり、ご近所への配りものをしたり。
終日、昨日に続いて天気が良くて、ありがたいことでした。


今日は七草で、七草がゆを作ろうと思っていたのだが、バタバタとしているうちに作れなかったのだが、夕食に奥さんがパパッと作ってくれました。こういうものは塩加減が大事なんだろうと思いますが、ちょうどよい加減ではふはふとおいしくいただきました。


夜、外へ出たとき、ちょっと時間ができたので、久しぶりに喫茶店に入って、コーヒーを何にするかメニューを見ながら迷っていたら、ウエイトレスのオネーさんが「金箔コーヒーは10日までなんですよ。」とおっしゃるので、それをお願いする。コーヒーの上にクリームを浮かべて、その上に金箔がふってありました。おいしくいただきました。


金箔コーヒーを飲みながら読んでいたのは山田風太郎『人間臨終図巻 2』なのだが、五十七歳で死んだ寺田寅彦の項の後半、


「・・・(前略)11月21日、幸田露伴は、岩波の小林勇とともに寅彦を見舞った。寅彦の妻、紳子が、「ちょっとお待ちください」といって二階へ上がっていく足音があまり無神経で乱暴なので、露伴は眉をひそめていた。
病床で、やつれた寅彦が、「体中に痛みが移っていくのを、じっと見つめています」というと、露伴は、「上の方から谷を見るように、気持ちを静かに下げて行きなさい」と、いった。寅彦は露伴の見舞いに驚き、かつ感謝していた。
帰りの車中で、露伴はつぶやいた。「寺田君より俺の方がまだ幸せかもしれない」それは悪妻で有名な婦人を持つ露伴が、同じく悪妻で有名な紳子夫人の様子を見ての感慨であった。
紳子夫人は、 2人の妻に死別した寅彦の3番目の妻で、寅彦の晩年17年5ヶ月を共にしたが、寅彦は、母の違う子ども達がふえてはあとあと悶着のもとになるといって、ついに紳子とはいちども夫婦生活をしたことがなかったという。小林は後にそのことを小宮豊隆から聞かされて驚いたが、この時点においてはまだ紳子の悲劇も知らなかった。・・・(後略) 」


なんて書いてあるものだから、笑いをこらえるのに必死だったのだが、「上の方かを見るように、気持ちを静かに下げて行きなさい」とは、さすがに露伴。何度も山の上から谷を見下ろした経験があるからか、この比喩、アドバイス、なんだか胸に染みたのでした。
それから同じ五十七歳で亡くなった南雲忠一、足達二十三、大松博文の並び順と文章は素晴らしいです。


夜、テレビのニュースの中で賀詞交換会のことを報じていた。