現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

『悲しみの底で出遇った光』と「積善の家に・・・」と


21日(土) 夏至
午前中は、農協の総代会にでる。
午後は、せっせと畦畔の草刈り。午後からは曇って、少し風も出て楽でありました。夏至なので、19時になってもまだ充分明るいのだが、草刈りは18時30分までにして、田回りをする。曇っていて、あまり夏至のムードを楽しめる空模様ではなかったのだが、それでもやっぱり夏至ですな。


『悲しみの底で出遇った光』という佐々木るりさんの講演記録を読ませてもらう。
佐々木さんは、福島の二本松市のお寺さんなのだが、震災と原発事故の起こった福島で、二年半(2013年8月31日の講演です)、何を見て、何を感じ、どう生きてきたのか、という講演記録。率直で素直なお話ぶりで、読んでいて泣けました。
原発事故後のことは、僕にはとても書きにくいことばかりで、なかなか書けないのだが、今の汚染水処理さえ、まったくうまくいかず、手の施しようがないような現況で、要するに放射能は、人類の手に余っているのです、今のところ。とにかく、原発の再稼働はやめてほしい。政府にも、みなさんにも、落ち着いて考えてほしい。日々の暮らしの中で、大切にしなければならないことは、なになのか。


22日(日)
午前中は、二つ地域の用事。道路愛護で法面の草刈りやゴミ拾い。それから続いて、農道の補修で穴ぼこに砂利をまいて回る。
草刈りの時は雨で、久しぶりにカッパを着て作業。蒸し暑いので、カッパを着てても着てなくても、濡れてしまうのだけれど。


午後は畦畔の草刈り。


「積善の家に余慶あり」というのは、どこで覚えたのだろう。露伴か、荷風か、村上春樹だったかもしれず、鷗外だったかもしれない。
うーむ。などと書いてしまってから、ふと、気になったのだが、僕が近代・現代の文学作品を網羅して読んでいるような印象を与えかねない書きぶりだが、決してそういうことはありません。誤解無きように、って、まあ、そういうふうに誤解する人もいない、ってこともわかっているのだが。でも、こんなふうにチャラッと書いておかないと、なんだか偉そうに書いているぜ、と思われるのも、恥ずかしいような、などと、思ってしまうくらい、露伴荷風、鷗外、という名前の迫力を感じてしまうのでありました。というのも、ちょっとイヤラシイ書き方だ、などとも思いつつ。
まあ、いいや。
「積善の家に余慶あり」である。
ここ連日、畦畔の草刈りをしている。道路脇の法面の草刈りもする。すると、まあ、たくさんのゴミ拾いもしなくてはならなくなる。コーヒーの缶だの、栄養ドリンクの瓶だの、スーパーの買い物袋だの、弁当がらだの、・・・。もちろん腹が立つのだ。風が吹いて家の回りから飛んできたものもあるかもしれない。しかし、大半は車から、あるいは自転車から、田んぼや道路脇に投げ込まれたものだろう。もちろん腹が立つのだ。
なんで、そのまま家まで持って帰れないのだ。そのあたりが理解しがたい。道路も田んぼも用水路もごみ捨て場ではない。
もちろん腹が立つのだ。で、そういう時に、「積善の家に余慶あり」とつぶやきつつ、缶も瓶もその他もろもろのゴミも軽トラに積んで帰る。「積善の家に余慶あり。セキゼンノイエニヨケイアリ。セキゼンノイエニ・・・」。
うまく書けないのだが、「積善の家」というのがいいね。「積善の人」じゃ、ないんです。「積善の人に余慶あり」だと、即物的で、つまらない感じがする。さらに「余慶」というのがいいじゃないですか。「余った慶び」なんだか、みんな慶んで幸せなんだけれども、その他にさらにちょっとよけいに慶びがあるみたいだし。今、辞書を引くと“ 祖先の善行によって子孫が得る幸運”なんて、出てきました。なるほど。でもやっぱり時間的な長さがあるんですね。あ、辞書には『平家物語』の巻2に出てきますよ、と教えてくれている。ほほう、『平家』だったのか。露伴荷風、鷗外、さらに平家、とくれば、古典にも教養がありそうな気配が漂うではないかいな(笑)。もともとは「易経・坤卦」に出てくる言葉だそうです。露伴荷風、鷗外、さらに平家、易経とくれば、大学者の教養の気配ですな。
善行を重ねていけば、ま、本人や、現在の家族は、ともかく、子孫、子々孫々、幸せがおとずれる。言い換えれば、今の幸せも、先祖の善行の積み重ねの結果でもあると。
もっとも、私のように、最初から余慶を期待して田んぼや道路のゴミをひろうという行為が積善になるのかどうか、いささかあやしいのだが。
ともかく、「積善の家に余慶あり」とでもつぶやかねば、あんまり毎日のことなので、道路脇のゴミ拾いもやってられないのでありました。


先日、普及所のKさんが、チェーン除草機の様子を見にこられたと書いたが、そのときに撮られた写真と動画をCDに焼いて届けてくださったので、編集してみた(並べてつなげてみただけですが)。なかなかW3600NSもきっちり動いているではないですか。家の近所というか、住宅地の中の田んぼだったのが、映像としてはも一つ風情がないのだが・・・。というか戦後の食料不足の時に「ふくらの森」を開墾して田んぼにしたところに、あとからどんどん家が建ってきたのだが。ま、そういうわけで風情はないが、2014年のチェーン除草機の顛末の総決算的なものとして記録しておくことにしました。前回の予告の無い予告編のこれが本編というわけではありません。