現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

「コシヒカリ」の稲刈り終了と彼岸花についての疑問二つ

18日(金)
午前中は精米と有機栽培の大豆の畦畔の草刈り。
午後は、あれこれ電気代だの水道代だの給食費だのあれだのこれだの引き落とし用の通帳にお金がなくなっていて、先日から引き落としができません、という請求書の葉書等が次々にやってきていたのです。最初は、なんのことかわからなかったのですが(笑)、よくよく考えてみたら、通帳をほったらかしにしておいたので、知らないうちに通著の残金がなくなっていたのでした。いやはや。今日は金曜日だし、明日から連休なので、通帳になけなしのお金を移し、また請求されている金額を振り込んだりする。やれやれ。しかしなんですな、学校から給食費が落ちてません、と言われると慌てますな。
それから保冷庫に新米を入れたり、畦畔の草刈りにでたり。


19日(土)
終日、稲刈り。
午後は倒伏の田んぼだったので、ゆっくり、じっくり、丁寧にコンバインを動かしたので、時間がかかりました。稲が立っていれば(コンバインは基本的に立っている稲を刈るように設計されているので)、ギュンギュン刈れるのだが、倒伏していると刈る前に倒れている稲を起こすという作業をコンバインがしますからね、その分、ゆっくりやらねばなりません。しかも倒れている稲は穂が地面について湿っていたり濡れていたりする可能性もありますから、そういう時にはなおさらゆっくりコンバインを動かさないといけませんね。ま、比較的小さな田んぼだったので、助かりましたが・・・。


20日(日)
朝から快晴。
午前中は昨日刈った籾の乾燥を待って、籾擦りから。
午後から稲刈り。今日は一番最後に田植えした、苗代あとの田んぼの稲刈りです。これで早稲品種の「コシヒカリ」の稲刈りは終了です。ちょっとホッとします。「コシヒカリ」は最も有名な品種で、粘りがあっておいしいお米ですが、倒伏しやすく作りにくい品種です。うちは倒伏したという田んぼは2枚だけでしたが、今年は雨が多く、台風もありましたので、このあたりでもあちこちで倒伏した「コシヒカリ」の田んぼがでて、稲刈りに苦労しておられる姿もよく見ました。そんなこんなで作りにくい品種が終わると、ちょっとホッとするのかな。


中晩稲の「秋の詩」は、もう「コシヒカリ」と比較にならないほど茎が硬くてがっしりしているので、肥料の量さえ間違わなければ、そうそう倒れませんから。


話題は変わりますが、いつから「シルバーウィーク」というような呼称ができたんでしょう?ま、いいけど。
お彼岸の秋分の日は23日(水)ですが、このあたりでも彼岸花が咲きはじめました。
確かに昔は、あまりいいイメージは持っていなかったような気がします。
その1、彼岸のお墓参りの頃に咲く。
その2、急に茎が伸びてきて真っ赤な花が咲くので驚く。
その3,毒々しい赤の花が、血しぶきを連想させる。
その4,種ができない花なので、子孫繁栄しないイメージ。
その5、球根には、毒があるらしい。
などとあれこれ理由はつけられますが、僕の場合は、急に毒々しい真っ赤な花が咲きはじめるし、群落をつくるので、ちょっとびっくりさせられる、というのが、大きかったような気がします。


ところがですね、百姓になって田んぼをするようになって、彼岸花が気になりはじめたんですね(笑)。あ、ひょっとすると滝田次郎の切り絵の彼岸花が美しかったからかもしれない。
だいたい、地域によっても違うのかもしれませんが、このあたりでは、しっかり名前の通り、ほんとうに彼岸の頃に急に地面から茎が伸びてきて、花が咲くんです。それまで、ずっと地面の中にいたのに、どうしてお彼岸を知るんでしょう。地表に葉が出ているのなら,わかりますよ。葉っぱが、日照を感じてですね、ああ、昼間と夜間と、だいたい同じ時間になってきたな、じゃ、花を咲かせよう、と考えるのならね。ところが、彼岸花は、花が咲き終わって、11月とか12月に盛大に葉を茂らせて、光合成して球根を太らせ、5月ごろになると自然と葉が枯れてしまって、地表には何にもなくなっているんです。要するに日照を感じるところがないと思えるのに、秋分の日が近づくを、決まって、忘れずに、しっかりと茎を伸ばして(それも一気に)花を咲かせます。不思議だなぁ。球根は、地面の中にいても、ちゃんと日照を感じるのかな。
地温なのかな?それなら地方によっては、咲く時期にズレがあって、桜前線や紅葉前線のようなものができそうなものだけど、彼岸花前線って聞いたことがないんだけど・・・。本当は彼岸花前線があるんだけど、桜や紅葉のようにだれもそれを知りたがらないので、黙殺されているということなのかな。


さらにもう一つの疑問。
日本に自生している彼岸花は三倍体で、種ができない彼岸花なんだそうです。中国のコヒガンバナは二倍体で種ができるのだそうですが・・・。
うーむ、このゲノムの二倍体だの三倍体だのについては、高校時代に生物の授業でちょっと聞いた記憶があるのですが、今では、もうなにがなんだか・・・。いえ、ちょっと調べてみたのですが、説明がよく理解できないんです。(えーっとゲノムと倍数性について、詳しい方がおられたら教えていただきたい。ゲノム、って一組の染色体って、ことでいいんですよね。ああ、僕は高校生の頃、物理や化学に比べて生物は、どうも、どこか、なんとなく、イメージとして、理由はないのだが、曖昧な、あやふやな、例外のおおい、とらえどころのない、教科・学問というイメージをもっていて、物理や化学と比べて、あまり勉強する気が起きなかったんだなぁ。若気の至りだなぁ。今となってみれば、そういうところが生物学の魅力というか、森羅万象、人知以上の奥深い学問のような気がしているのだが・・・。)ま、だからそれはとりあえずおいといて。
日本の三倍体の彼岸花は種ができないから、球根で増えるということになると思うのだが、・・・。
で、僕はブログでも書きましたが、5月ごろに、自生している彼岸花の葉が枯れるころを見計らって、球根を掘り出し、とある畦畔に移植したのです。ふふふ。で、その畦畔から、あれ、もっと球根植えたんだけどな、と思いつつも、ま、十数本の彼岸花がちゃんと咲いてくれています。来年は球根も増えて、もっと咲いてほしいんだけど。
このように、畔が崩れないように(彼岸花は縦にわりと深く根を張るのだそうです)、もしくはネズミやモグラに畔に穴をあけられないように(球根には毒があるようで、これを嫌ってネズミやモグラがやってこないのだ、という説も昔からあります)、それから花は9月の彼岸の頃に咲くし、その後、葉は冬の間に茂って、5月ごろに枯れてくれるんで、あまり田んぼ仕事に影響が出にくい、とかいろいろ理由があって、百姓が畦畔に彼岸花の種を移植して増えていったということなら、よくわかるのです。理解できます。
ところが、今年は五月に球根を移植したこともあって、気をつけて彼岸花を見ているのですが、去年まで、生えていなかったところに、急に花が咲いていたりするのです。うちの田んぼの近くなんですが・・・。川や用水路を挟んだ堤防にはもうたくさん彼岸花が咲いています。でも私はこの畦畔や田んぼ道の法面に彼岸花の球根を移植した憶えはない。なのに今年は初めて生えてきた・・・。
考えてみたら、種ができなくて、球根で増えていく彼岸花のはずなのに、どうやって生息域、自生域を増やしていっているんだろう。
河原の彼岸花は洪水等で土が洗われて、球根が流れていって根付いたことが考えられますね。
それからいつの間にか中国から二倍体のコヒガンバナが日本にやってきていて、タネでこっそりいつの間にか増えているとか。コヒガンバナもよく知りませんが、けっこうよく似ているらしい。
知らないうちに、こっそり誰かが移植して歩いている。
ま、いろいろ理由は考えられるのですが。わかる人がおられましたら教えていただきたいです。