現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

少し雪が積もったことと朝方昇ってくる月と小説家ばかりの世の中


しかしなんですな。三日分を思い出して書こうとすると、すでにわからなくなっていること、思い出せないことがたくさんあります(笑)。個人的な出来事なので、忘れてしまっていてもまあどうでもいいのでしょうが、忘れてしまったことはなかったこととなるのでしょうか。なかったことにはならなくても、なかったことに等しいということになるのでしょう。死んでしまって、個人がいなくなってしまえば、一年も経たないうちに、たくさんのことがなかったことと等しいことになっていくのでしょうな。ま、それは寂しいことのようでもあり、ありがたいことのようでもあり。こうしたブログや、SNSなど、ネット上のハードディスクに記録され保存されている文書やデータは、私が死んでしまってからその後、どうなるのでしょうね。うーむ。



13日(水)
寒い一日。終日、雪が降ったり止んだり。しかしほとんど積もらず。
午後は精米など。


14日(木)
朝、起きたら、雪が3cmから5cmほど積もっていた。
午後は机周りの整理など。


15日(金)
朝まだ暗いうちに起きて窓の外を見たら、月齢26.6の細い月が昇ってくるところだった。毎日、何度となく空を見上げる習慣がある、というか空ばかり眺めているのかもしれないし、目が覚めて起き上がったら、まずカーテンを少し開けて空を眺める。朝暗いうちに昇ってくる細い月を見るのは久しぶりのような気がする。
午前中は精米など。
午後は農協にいってお金の出し入れ。それから大豆の水分を調べて、出荷用の袋を購入。それから整備を終えて帰ってきたリフトを収納。


先日、小説家になるのなら、弁護士と医者と僧侶がいいらしい、と書いたのだが、ある人から、「これから人工知能(AI)が発達すると、いろいろいらなくなる職業が出てくるらしいけど、弁護士も医者もいらなくなるらしいよ。」と教えてもらった。
たしかに人工知能(AI)がもっともっと発達すれば、人間は仕事をしなくても、遊んで暮らせるようになるかもしれない。面倒な仕事はみんな人工知能(AI)搭載のロボットがやってくれるし、ディープラーニングで職人技も解析して、難しい感覚的な職人技的なこともこなせるようになるだろう。でもすごい格差社会になってしまう気がする。仕事がなくなってやることが亡くなった人間があふれるし、一部の人工知能(AI)を開発している(開発しているのは、おそらく人工知能(AI)なんだが)、人工知能(AI)開発の多国籍企業の役員ばかりが儲かっていく社会システムになるのではないか。多国籍企業と書いたが、ひょっとすると一民間企業が、国家以上の力を持つようになって、国家は解体というか、実体のないものになってしまっているかもしれない。
と、いうようなことを考えていたら、「ひょっとすると人間はみんな小説家になっているかもしれませんね。」とまた書き込みがありました。うーむ。人工知能(AI)によって、仕事がなくなった人間はみんな小説家になる。うーむ。おもしろい。


朝目が覚めて、ベッドから降りると、すでに家政婦ロボットがお茶を持ってきてくれる。「妻はどうしてる?」と訊ねると家政婦ロボットは妻がすでに起きて小説を執筆中であると教えてくれた。妻もだんだん早起きになってきたようだ。「スクリーンを。」と話しかけると、テーブルの上にスクリーンがあらわれて、昨日まで私が執筆していた小説が表示されている。と、同時にAIが寝ている間に、推敲してくれた赤がたくさん入っている。私を担当している編集者の編集AIは、私の好みで森鴎外開高健藤沢周平村上春樹のすべての文章を覚えているので、書いている小説の状況に合わせて、いろんな提案をしてくれるのだ。(ちなみに妻は夏目漱石谷崎潤一郎山口瞳橋本治恩田陸椎名誠の文章を登録している。)こうして私は終日、スクリーンの前で小説を執筆する。キーボードがなくなって久しい。私の場合はたいてい口述筆記してもらって、あとから何度も推敲するというやり方だ。
そんな風に小説を書いても、たぶん人間の読者はほとんどいない。なぜなら人間はみな小説家であり、執筆者だからだ。読者のほとんどはAIの編集者とその仲間のAIである。書いた小説はネット上の書店に並べられることになるが、毎日、すさまじい勢いで新刊が出るので、誰も読もうとするものなどいない。もちろんAIによって、小説は評価され、ポイントが付く。ポイントがいくつかたまれば、通帳にお金が振込まれる。そういうシステムだ。
小説家なので、小説以外に日記のような文章を書いても随筆だのエッセイと呼ばれて日記も出版できる。もちろんこれも人工知能(AI)によって評価されるが、小説よりはいささかポイントが低かったりする。だって、日記なんだし。
書かれた文章はすべて人工知能(AI)が管理していることになるので、その人間の思想信条もわかってしまう。たわいのない日常のことやコメディとポルノの小説はポイントが高い。体制批判を書くと、いつの間にか世の中からいなくなってしまうこという噂があるので、ほとんどの小説家は、つまりほとんどの人間はそういうことは書かないのだが、でも世の中の人間の一定数は必ず体制批判を書いてしまうので、毎月、少なくない人間が突然いなくなっているが、その数字は誰にもわからない。
私は今、花粉の飛散と菌類の繁栄している世界の小説を書いている。編集AIが寝ている間に添削してくれてた部分を読んでみると、確かに文章が滑らかになっているし、話の展開もおもしろくなっているので、「オッケー!」とスクリーンに向かって言うと、添削通りに直されて赤いところが消えた。この一週間ほど、なぜこれほどまでに花粉を飛散させる植物が増えてきたのか、その理由を考えているのだが、二つ理由は考えられたのだが、三つ目が思いつかないのだ。家政婦ロボットにお茶のおかわりを所望して、妻の小説の進捗具合を尋ねたら、2400字書いて、1600字分を削除したそうだ。


うーむ。笑える。どうもデストピア小説になってしまうな(笑)。全員が小説家でなくて、半分が小説家で、もう半分は個人的な私小説ばかりが毎日大量に発刊される状態では、読み物にすっかり興味を失っている第一次産業従事者という風にした方がいいな。格差社会が際立ちそうだし、のちのちこの第一次産業従事者のなかから小説家がポツポツと出てきて分断されていた世の中が少しづつ連帯していくという、・・・。陳腐なストーリーしか思いつかないのがツライ(笑)。



ネット上で評判ストーンズの『ON AIR 』が届く。1963年から65年あたりのBBCでのラジオ用のライブの様子です。まだブライアン・ジョーンズが頑張っています。ライブ録音なので、演奏もいささかラフなところもあるけれど、思いのほか音質も悪くないし、若々しさが感じられていいです。懐かしい曲もたくさん入っているし。
どうもはてなダイアリーでうまくYouTubeを埋め込むことができなくなっていますな。どうしてだろう?ま、いいけど。例えば、こんな曲