現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

「尻踏み」をはじめたことと夏日と『美術館を手玉にとった男』と「フクロウの夜」

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1日(金)
 午前中に「こなし」を終えてもらったので、午後はロータリーからドライブハローにトラクタのアタッチメントを交換して、「尻踏み」をしてもらう。「尻踏み」というのは、いわゆる植え代かきのことですね。田植え前の代かきで、土を泥にして、均平をとるという作業になります。長男がトラクタに乗ってくれているので、僕は、馬鍬で隅や進入路のあたりを均したり補助作業をする。


 夜、サム・カルマン/ジェニファー・グラウスマン監督『美術館を手玉にとった男』(2015)ドキュメンタリーということらしいです。知らなかったです。マーク・ランディスという贋作作家。こういう人がいたんですね。贋作を作ってそれをあちこちの美術館に寄贈しまくっていたんですね。で、美術館側もそれが贋作だと、見抜けなかったわけです。詐欺行為にあたるかと思われたんですが、美術館からは一銭ももらっていないので、詐欺には当たらなかったんです。なるほど。
 でも、映画としては、どうなのか。もう少し、どこかで盛り上げてくれないと、疲れた身体には。眠くなっちゃいますよ(笑)。


2日(土)
 どんどん気温が上がって暑い一日。
 朝、浸種の水を交換。それから苗代を確認して、プール苗代に水を補う。それから田回り。
 長男が「尻踏み」に出てくれたので、僕は田植え機を出してきて、植え付け部にグリスを入れたり、あちこちグリスアップ。それからエンジンオイルを交換する。田植え機の爪を確認したけど、もう少し使えそうだけど、今年はどこかで交換しなくてはいけなくなりそうな気もして、ワンセット注文する。
 午後はフォークリフトに給油して、農協から肥料をワンパレットもってきて、畦畔の草刈りに出る。何度まで上がったんだ?27.4℃だそうです。


 あんまり暑いので、夜、網戸をはめて窓を開けていたら、カエルの大合唱に混じって、なんと!フクロウの「ホーホ、ゴロスケホーホ」という鳴き声が聞こえてきたではないですか。あわててiPhoneで録音してみる。だって家の窓からフクロウの鳴き声が聞こえてくるなんて、・・・。感激!(笑)
 僕は小さい頃、って小学二年生まで、祖母と一緒に寝ていて、ずいぶん祖母には寝物語に(いや、寝物語というと男女のピロートークということになってしまうのかな。)浦島太郎から、桃太郎、舌切り雀、姨捨山、こぶ取じいさん、花咲じいさん、カチカチ山、金太郎さん、鶴の恩返し、かぐや姫、さるかに合戦、いろんな話を毎晩蒲団に入って祖母から聞きながら寝てました。
 そんな祖母がときどき「ほれ、フクロウが鳴いてやんす。聞こえたか?」と尋ねてくれたのだが、すでに半分眠っていたのか、ちゃんと聞いた記憶がないんだが、「うちの柿の木によくフクロウが止まりにきて、鳴いてやんすで。」という話は何度も聞いた覚えがあります。
 村の中に「堂の森」という森というか林が今でもあるのだが、小学生になったばかりの頃だと思うけど、夕方、通りかかったら、近所のオッチャンが「ほれ、あそこにフクロウがおるやろ。わかるか?」と教えてくれたことがある。そう言われても子どもの僕には見つけられなかったのだが、そのフクロウが突然飛び立って隣の木に移ったのでフクロウの姿を見ることができました。といってもシルエットだけでしたけど。「堂の森」にはけっこう大きな木がありましたし、たぶんどこかに巣があったのだろうと思います。
 山登りをしていた頃、山の麓でテントを張ったときにフクロウの鳴き声をテントの中で聞いたことがありましたが、まさか50年ぶりぐらいに家の窓からフクロウの鳴き声を聴くことになろうとは。どこからやってきたのだろう?それとも僕が気がつかなかっただけで、ずっとこのあたりにいたのかな?餌はあるのかな?大合唱しているカエルでも捕まえているのだろうか?


 寝室で蒲団に入ってTwitterをチェックしながら寝ようとしていたら奥さんがやって隣の蒲団に入ったので、
 「おい、今な、窓開けてたら、フクロウが鳴いとったで。」
 「夢でもみたんか?」
 「夢と違うて、ほんまに鳴いとったんやて。」
 「夢やて・・・。」
 「いや、違うんや、iPhoneで録音もした。」
 「夢やて・・・。」
 「違うて。」
 「・・・。ほんなら聞かしてみて。」
 「iPhoneで録音やで、よう聞いてんと、わからんかもしれんぞ。」
 音を流す。
 「ほれ、今、鳴いたやろ、わかった?」
 「うん、・・・。」
 「ほれ、また鳴いた。」
 「うん、・・・。」
 「けっこう、鳴く間隔があるんやな。」
 「・・・。」
 「ゴロスケホーホって、なんやろな。」
 「・・・。」
「聞いてる?」
 「・・・。」
 ま、僕もテレビの前で横になったら、10秒で鼾が聞こえてくる、とか、蒲団に入って5秒で寝てしまっている、とか、家族からいろいろ言われてきたけれど、うちの奥さんもけっこう寝つきはいいのでした。
 僕ももう一度その録音を聴いているうちに眠ってしまいましたが、考えてみれば、フクロウの鳴き声を聴きながら眠れるなんて、幸せなことではありますな(笑)。
 カエルの大合唱とフクロウをお届けします。iPhoneの録音なので、音質はそれなりです(笑)。


ふくろうの夜



3日(日) 憲法記念日
 終日、曇り。朝の田回りのときはそうでもなかったけれど、帰ってきて朝食を食べているうちに風も強くなる。
 長男は今日も「尻踏み」に出てくれたが、風が強いので、水が風下に吹き寄せられて苦労しているかもしれない。僕は、畦畔の草刈りを少しして、昨日の「尻踏み」で、うまくトラクタのタイヤのあとが消えていないところがあったので、馬鍬で手直しなど。
 それから尻水戸を確認して、水を入れた田んぼが4枚。
 午後は「まるごと保全隊」の役員会で、農道や水路の点検と濁水防止の水質検査など。