現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

田んぼの畔の穴を埋める

田んぼでタニシをつかむ

6月です。旧暦ではまだ4月、卯月の19日ですけどね。爽やかな一日でした。あ、でも午後、雷雨になりましたけどね。雨はたいしたことなかったけど。
昨日で田植えも終わったので、今朝はゆっくり田回り。
ゆっくり田回りして、畔なんかもゆっくり見て回ると、所々、水漏れ箇所が見つかる。中にはゴボゴボと音を立てて隣の田んぼに水が落ちている大きな穴も三つありました。やれやれ。穴に草やら泥やらを詰め込んで穴を塞いだり、畔を長靴でグイグイ踏んで穴を潰したりして、水漏れを止めて歩く。すべての田んぼの畔を歩いて確認したので、半日かかってしまった。やれやれ。
日向ぼっこしている蛇を10匹以上畔で見つける。いつからか蛇は苦手になってしまって、背中の辺りがゾガゾガするようになってしまいました。最近の蛇って逃げませんね、あんまり。それで、あっちへ行かそうと土くれをポイと投げると、頭をこっちに向けて、ガラガラヘビみたいに尻尾を震わせて威嚇してくるし。どうも好きになれない。
田んぼの水の中ではタニシ、ゲンゴロウ、オタマジャクシ、カエル、それからなんだかわからない幼虫、それからミジンコ類が大量発生、大爆発状態。豊饒の海と化しています。


午後はトラクタや軽トラの水洗い、作業所の整理整頓など。整理整頓は苗箱の始末が残っているので、なかなか進まないなぁ。


昨日の「日本農業新聞」の「論点」に京都大学大学院教授の末原達郎先生の「文明社会の条件」という文章が載っていた。以下、その要約。

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現代日本に住むわれわれは、生活スタイルに関しては、すべて都市文明型になっている。
どこかへ買い物に出かけるのも自動車だし、道路も整備されている。二時間も走れば、たいていのところへたどり着く。道路沿いの大規模販売店では、ほとんどの商品が手に入る。生活をしていくには、便利この上ない。お金さえ払えば、たいていのものは手に入る。
50年前を振り返れば、生活スタイルは、今とはまったく違っていた。自動車は高級品で、一家に一台さえ夢だった。冷蔵庫とテレビは普及し始めていたが、システムキッチンはまだだった。この半世紀で、生活は一変した。われわれは今、都市文明社会の利点を享受している。
しかし、この50年間で失ったものも大きい。家族がこんなに離れ離れに生活すると予想しただろうか。農村の人口がこんなに少なくなると考えてみただろうか。これほど米を食べない社会になると、誰が思っただろうか。
実は、われわれの都市文明社会は、一見満たされてはいるが、危うい世界でもある。世界中から農産物や水産物を輸入して、世界中の料理を料理を食べることができてはいるが、いったん輸入が止まったら、価格の問題だけでなく、食物そのものが不足するだろう。
自由貿易の原則は、平和な時代だからこそ成り立っており、それが永遠に続くというのは、都市文明社会側の幻想にすぎない。
世界を旅していると、食料が不足している国がたくさんある。飢餓や食料不足は、天候の不順だけで起きているのではない。むしろ紛争や政治的混乱により、自由にものが流通しないときの方が多い。また、首都は食料が足りていても、ある地域、ある地方にだけ食料が届かないことも起きる。
他のものとは異なり、食料や水は、たとえ一週間不足しても、人々の生活や生命に深刻な影響を与える。重要なのは、それぞれの地域や個々の家族に、常にちゃんと食料が供給できるシステムがあるかどうか、という点である。
もし、われわれの社会が、本当に文明社会と呼べるものであるならば、そこで生きる人々にとって、受け取るべき基本的な権利がいくつかある。すべての人々が安全に暮すことができること。基本的な教育を受けることができること。そして、必要な食料を常に手に入れることができること、である。
これは、国というよりはむしろ、文明としてのわれわれの社会がなすべきことである。
都市文明社会である日本が、その食料基盤をどのように築き上げるか、今こそ、20年、30年という長期的な視点を持って、判断するべき時になっている。

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日頃なんとなく感じたり思っていたりすることも、なかなか文章にすることはできないので、要約してみました。


さて、自由貿易の原則は平和な時代だからこそ成り立っているのですが、日本に外から食料が入ってこないという状況はどういうときに起こるのでしょうか。

  • 日本が戦争をしたり、戦争に巻き込まれて、あるいは外国の不興をかって、食料の自由な流通ができなくなる。
  • 環境の激変や天候不順で地球規模で食料不足が起きる。
  • 現在、経済的に貧しく人口の多い国が発展してきて今の日本の暮らしと同じような食生活になり、食料の奪い合いから食料不足をまねく。
  • 食料自給率の低さを憂え、国産農産物の味の良さ、安全性を再認識して、日本の農業を守るべく国産の農産物を積極的に食べるようになる。

他にもいろいろあるのでしょうけれど、思いつくままです。
どれも可能性が低いでしょうか。うーむ。