現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

中打ちとは中耕・培土のこと

用水路のクモ

朝、5時前に起きて、5時に過ぎには大豆の圃場にいる。耕耘機で中打ちをします。中打ちとはなんぞや。どうなんだろう、正式には中耕・培土というのでしょうか。
要するに大豆は7/18の写真では判りにくいですが、バラマキでなしに、列で播種するんです。すると当たり前ですが列で芽を出してきます。当然、列と列の間はなにも植えてありませんがから雑草が生えてきます。とにかく雑草の生える時期です。雑草は大豆の生育より遥かに早いので、追い越されたりします。すると大豆は雑草に負けてしまって、栄養をとられ太陽光をとられ、うまく育ちません。
そこで、列と列の間を起して、少し生えてきた草を埋め、同時に大豆に土をかけて倒伏を防止します。大豆の花が咲くまでに必ず2回はするように指導されています。
中打ちをすることによって

  • 土壌の通気性がよくなり、根粒菌や根の活性が高まる。
  • 新しい根の発生が促され、生育後期の養分吸収が高まる。
  • 土壌の保水力が高まり、干ばつに強くなる。
  • 雑草の発生を抑える。
  • 根張りをよくし、倒伏を防ぐ。
  • 排水・灌水がスムーズに行える。

などの効果があります。ところが、ご近所の農家では最近はこういう中打ちをしておられるところは少ないです。うーむ。ほとんどないと言ってもいいくらい。どうされているかと言うと、密植と言う手法です。
うちの大豆の列と列の間は78cmですが、これを20cmから30cmにするのです。そういう間隔では機械は入れませんから、初期を除草剤で押さえて、大豆が成長してくれば、大豆の葉が茂ってきます。密植していますから、列の間が陰になって、雑草が生えにくくなります。そこで中打ちという真夏の作業を減らそうという技術です。大規模農家のほとんどはこの技術を使っておられます。
しかし、ちょっと考えればわかりますが、面積あたりの播種量はぐんと増えますし、増えた分は一つの芽に対する養分は減りますし、雑草を抑える日陰は大豆にも影響を与えて、大豆の粒の大きさでは大粒が減って、中粒が増えるということです。間隔を大きくとって太陽の光をたくさん万遍なく当てたほうが、大豆はよく育つと言うことですね。もちろん雑草もよく育つのですが。それで中打ちという作業が必要になってきます。


さて、消費者のみなさんは、どういう大豆が食べたいですか?日陰に育って粒の小さくなった大豆より、太陽の光を存分に浴びて大きく育った大豆が食べたいですよね。誰だってそう思うのではないか。


でもね。
大豆は(小麦も同じですが)ほとんど儲けがないか赤字になります。これは政府の補助金をもらってもです。だって、大豆の、小麦の売値は極端に安いんです。端から赤字です。それは海外から入ってくる小麦や大豆がさらにべらぼうに安いからです。要するに生産調整で、米の減反で作っているような大豆や麦が、海外の途方もない大規模農業の大豆や麦の値段にかなわないのです。
消費者のみなさんは、いくら安全です、安心です、おいしいです、と申し上げても、いささか値段の高い国産よりも安い海外の大豆や麦を選ばれることでしょう。卸の業者がそれを見越して、輸入大豆や輸入小麦を買い込みます。

真夏の朝、涼しいうちにと5時から作業をして、農薬の少ない、大粒のおいしい大豆を作っても、コスト的にはまったく太刀打ち出来ません。これは百姓や農家の努力不足とは別問題です。そういう仕組みになっています。どうせ儲けにならないなら、作業が楽な方を当然選びますよね。当たり前のことです。それで大規模農家は播種したらその後の世話の少ない密植を選ばれます。辻井農園も迷っています。


なんだか咽喉が渇いてきました。ビールがもう冷蔵庫にはない。やれやれ。


Amazonから竹内久美子の本が4冊届いた。以前日高敏隆と共著の『もっとウソを!』を読んでおもしろかったからクリックしてしまったのだが・・・。『遺伝子が解く!男の指のひみつ』『遺伝子が解く!女の唇のひみつ』『遺伝子が解く!愛と性の「なぜ」』(文春文庫)、『女は男の指を見る』(新潮新書)。うーむ。しかしなぜ4冊も一度にクリックしたのか。
さらに『STONES IN EXILE〜「メインストリートのならず者」の真実』というDVDも届く。「最高傑作といわれる『メインストリートのならず者』の真実を描いたオフィシャルドキュメンタリー!」と帯にあります。これは楽しみ。もっともヴォルフガング・ペーターゼンの『ザ・シークレットサービス』もまだ観られていないんだけど。こちらは主演のイーストウッドをくったというマルコヴィッチが楽しみでもあるんだけど。


スポ少の野球の子ども達と高校野球の滋賀大会の決勝を球場に観に行く。なかなかよい試合でした。


夕方、また大豆の中打ちに出る。午後からは雲も多くなってきていたのだが、中打ちの作業中に雨が降ってきた。でも弱い雨。雷でも鳴りだしたらどうしようか、と思っていたけれど、弱い雨で、からからに乾いた土を少し黒くしただけなので、そのまま濡れながら作業をする。
明日は雨か。