現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

雨でなかなか稲刈りがすすまないことと不器用ということ

田んぼのアオウキクサ

2日(月)
今日も朝から雨。大雨洪水警報が出ていました。午前中の10時から11時頃はけっこう激しい雨でした。この雨で、うちのだわだわとしていた田んぼはもちろん、あちこちの田んぼで倒れている田んぼが多くなってきました。
でも無農薬有機栽培の田んぼは茎がしっかりしているし、穂がそれほど大きくない、というかムダな粒がないのだろうとおもいますが、しっかり立っているのには感心しています。


午前中に籾擦り。途中で籾殻がいっぱいになったので、田んぼにまきに行き、午後、また続きの籾擦りをする。
雨で稲刈りはできない。


3日(火) 
朝のうちに、5月末から6月にかけて植えた「コシヒカリ」の田んぼの尻水戸を切って落水する。
完全無農薬有機栽培米「コシヒカリ」の田んぼも落水。中干しするために落水したときは、ニゴロブナの稚魚もいっしょに田んぼから落ちていったのだが、今日の田んぼは先日からの雨で水が目一杯。でもその田んぼにアオウキクサが一面にあるんですよね。こういうのを観ると、無農薬で有機栽培している田んぼは、やはりどこか僕みたいな新米百姓にはわからないところで、回りの慣行栽培の田んぼと違うのだなぁ、とまざまざと感じるのです。だって、回りの田んぼでうちのこの田んぼのようにアオウキクサに覆われている田んぼはありませんから。


で、天気予報ではお昼頃から雨といっていたのですが、朝のうち晴れて青空もみえていたので、これは濡れている葉が乾いてくれば、稲刈りができるかも、と10時頃から稲刈りを開始。濡れた田んぼで苦労して稲刈り、なんとか2/5ほど刈ったお昼前に、雨。
田んぼにいると雲の様子や山の様子がよく見えるのです。風は南から吹いていました。あ、南東の空がやばいな、と思っていたら、伊吹山も七尾山も白くなって見えなくなり、横山が見えなくなった、と思ったら、ざぁーっ、と目の前が真っ白になるような雨。いやはや。天気予報どおりです。あの朝の青空にだまされました。


これで、また倒れかけている田んぼが倒れるなぁ。まいるぜ。


一旦、雨も上がったのだが、16時過ぎからまた激しい雨。ちょうど次男が走って帰ってきたのだが、全身ずぶ濡れでした。まったくの濡れ鼠。雨の中、走ってくる次男を作業所から見ていたのですが、勝手口まで走ってきて、こっちを見て笑っておりました。確かに、笑ふしかない雨である、と山頭火風につぶやきたくなる激しい雨ではある。白雨である。防災無線の放送で大雨警報が出たと報じている。


しかしなんだな、今シーズンの稲刈りは早めにスタートしたものの、稲刈り途中で雨に降られて、濡れ鼠でコンバインを運転して帰ることこれで三度。なかなか天気に泣かされる秋ではあります。


うちのコンバインには屋根がない。激しい雨の中、濡れ鼠になって車庫をめざして道路をフルスピードで運転していると、すれ違う車のドライバーが、みんな僕を観るのだ。まあ、観るわな。普通見ます。僕はこういうときこそ、うなだれてはいけない、と昂然と頭をあげ、胸を張ってコンバインを運転するのでありました。ま、やせ我慢している自分は嫌いではない(笑)。


そういえば、糸井重里氏がやっているほぼ(日)で「わたしのおはし 真竹 拭漆仕上げ 桐箱入り 8295円」というのを売りはじめていて、このお箸が気になって仕方がない。まあ、糸井重里氏なので、商売は上手なのですね。気になって仕方がない(笑)。いや、こんな高い箸は僕には無用というか、不要というか、そういうことはよくわかっているのだが・・・。気になって仕方がない(笑)。
で、三人の職人たち、竹、拭漆、桐と登場してこられる予定なのだが、茶道竹器匠長尾宗湖氏のインタビューを読んでいたら、不器用やった、というくだりが出てきたところで、突然泣けてきた。
桂米朝師匠の「百年目」でも後半、旦那が番頭に話をするところで「おまはん、うちへ来たときは、不器用な子どもやったが・・・」というくだりがあるのだが、これがまた泣かされるのを思い出す。


不器用な男が不器用なゆえに人より苦労して二倍も三倍も時間をかけて修行もし、努力すると、長続きもし、大成するという話です。話としてはよく聴く話ではあるのですが、実際のところはなかなかできるものでもないですわな。器用で利口そうな顔をして上品ぶってすましてみたくなるものです。わたし美人でございましょ、というような顔をした美人が、ときとしてたいへん下品で醜くみえるように、器用で利口そうで上品ぶってすましている男の顔が、なんとも馬鹿面に見えることもときどきありますね。などと書くと書き過ぎかもしれません。
ま、とはいえ、「自分、不器用ですから」と高倉健になったような顔で言われても鼻白むばかりではあるのだが。