現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

田植えが順調にすすんだことなど

19日(月)
風もなく、今日も絶好の田植え日和。朝から田植えだが、順調に進んで、午後比較的早めに終了。ありがたい。
田植えもまだ続くのだが、田植え作業はここでちょっと一区切り。また「こなし」や「尻踏み」作業をします。
画像は一番最初に田植えした田んぼ。もう半月ほどになります。


無農薬の「秋の詩」の田植えをインターバル撮影してみたのだが、うーむ。どういうわけか、YouTubeにうまくログインできない。起動ディスクを変えたり、データを移動したり、あれこれいじったからな。またどうもiTunesも同じ理由で、うまく動いていない。こちらはさらにiTunes Matchのからみもあるので、ややこしいかも。さてさて。


20日(火)
短い手紙を二本書く。一通は礼状。もう一通も礼状のようなものだ。礼状はすぐに書く、というのが何よりなのはわかっているのだが、あれこれ体裁を考えてしまって遅れがちになる。


夕方、田回りのついでにホームセンターに寄って、今年の無農薬の田んぼの除草機の材料をあれこれ探す。今年はチェーン除草の他に竹箒除草も考えてみるつもり。


19日の日本農業新聞に載っていた記事。書いているのは、日本総合研究所 主席研究員 藻谷浩介氏。

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現代の日本社会では、農業と、医療福祉と、教育とが、よく似た境遇にある。専門知識や現場での経験を持たない人たちが外野から、「お前たちのやり方は不効率だ。もっと自由競争原理を導入しろ、国際競争に負けるな、経済成長に貢献せよ」とご指導してくると言う点で。分野横断的な地域活動家のお手伝いを生業とする筆者は、そうしたマクロ経済学的な見方と現場の実情のズレを、いつも横目で観察してきた。
そもそも、今の日本における「自由競争」「国際競争」「経済成長」というのは、中世欧州における「神」のようなもので、特定の時代限定の金科玉条だ。論者の多くは、日本語限定のマスコミやネットの上で騒いでいるだけであり、彼ら自身、何を海外と競争しているわけでも、何の外貨を稼いでいるわけでもない。「良質で安全な食料の安定的な確保や、食文化の維持洗練を、今後数百年にわたって続けていく」というような大局的な視点は、目先の数字にとらわれる彼らの眼中にはない。
農業経済学者の神門義久氏と対談する機会があった。その詳細は対話集『しなやかな日本列島の作り方』(新潮社)に収録したが、まさに目から鱗が落ちるものだった。
神門教授は「プロとして生産技能を研鑽しないん農家は、世界に伍す競争力を持てない」と語る。そしてその生産機能とは、「太陽エネルギーを最大限活用して、健康な生き物を育てる技術」だと言う。「自然光と流水と堆肥を最大限活用することで化石燃料を使わずに、おいしくて長持ちする食品ができる。降り注ぐ太陽熱は面積あたり均等であり、それを利用する際に規模の利益は働かない」とも。
彼は事例を挙げて説く。「大規模農業で低価格化を実現するというのは、化学肥料、人工飼料、農薬など、化石燃料を使って生産される製品に頼ったハリボテ農業の話であり、それをやってもコストが売り上げに連動してかさむだけで外国製品には勝てない。自分の手の届く小さな規模で、自分の手間以外のコストをなるべくかけずにきちんとした農産物を生産することが、むしろ低コスト好採算を実現し国際競争力に繋がる」と。
国の指導通りに規模を拡大し機械と農薬と肥料と飼料を買い続け、TPP交渉の先行きに大きな不安を覚える多くの農家の皆さんは、どうお考えになるだろうか。「一面的だ」というこ批判は当然あるだろうが、全国各地で先進的な取り組みを行う農家の方々にお会いする機会のある筆者には、ストンと落ちてくる。とても納得できるお話だった。
人口は増加を続け、化石燃料は不足していく今世紀前半の地球。機械の多用と地力収奪と地下水の浪費に頼った海外の大規模農業、その生産力に支えられた今の農産物の低価格が、そのまま続くとは思えない。
そんな中で、太陽と水と土壌に恵まれた日本の農業は、どの方向に向かっていくべきなのか。
外野に立っているに過ぎない筆者ではあるが、もっともっと多くの事例に触れて、総論ではなく現場から知見を固めていきたいと持っている。
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ま、自身の本の宣伝なのだが、・・・。日本で大規模農業を進めていくだけでいいのか、考えるべきことはありますね。


それからちょっとだけTPPのこと。農業の五品目の関税のことだけでなく、(だいたい五品目しかないというのもおかしな話だが、)TPPは他にもたくさんの交渉の分野があり、食の安全や金融、知的財産、医療や保険制度などなど暮らしに深く結びついたことがたくさんあるのに、それをマスコミがほとんど取り上げて報道しないことの不思議。格差のある社会にますます進んで、暮らしにくくなるのではないかと思っています。