現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

『開高健電子全集2 純文学初期傑作集/芥川賞』と「平和の俳句」

tsujii_hiroaki2015-01-22

21日(水)
終日、事務仕事。
種籾や資材の予約注文の都合もあるので、あれやこれや27年度の圃場の計画を立てる。


毎晩、読んでいるというわけではないのだが、枕頭に開高健の『文学論』というわりと分厚い文庫本を置いている。ここ最近は、夜9時をまわると眠くなり、布団に入るので、家族からあきれられているのだが、その分、布団に入ってから、また夜中にふと目が覚めたり、朝早くまだ暗いうちに目が覚めたりするので、布団の中からひょいと手を伸ばして、適当なところから読んだりしている。
僕は1980年代の前半、開高健の文章は読めるものは全部読もうと思っていた。
当時は『週刊プレイボーイ』の人生相談のコーナーで痛快な回答をして人気だったらしいのだ。僕はそれを知らずにいたが、あるとき後輩の女の子に「開高健がおもしろいぜ。」といったら、「人生相談、おもしろいですよねぇ。」という。「え?人生相談?なにそれ?開高健やで?」というと、「あれ?知らないんですか?週刊プレイボーイの人生相談「風に訊け」ですよ。」「え?週刊プレイボーイ?あんた、そういう雑誌、読んでるん?ほー。」「いえいえ、えへへへへ。」と返ってきたのでした。
当時、ときどき開高健が女子大生に人気だという話が、あちこちで出るようになっていました。その理由がわからずにいたのですが、この一件で、スカッとわかったのを覚えています。なんのことはない、ボーイフレンドが読んでいた『週刊プレイボーイ』を一緒に読んでいたんでしょうな。「アホな質問しとるけど、開高の回答がおもろいで。」というボーイフレンドの声にうっとりしながら、「え?このポッチャリのおじさんなの?うふふ。」と読んでいたということですわな。
あとで単行本にまとまってから読んでみたら、これがまた、あーた、むちゃくちゃ面白いんですな。驚いたのは、読者から「巨匠」だの「文豪」だのと呼ばれていたこと。これには驚いたというか、たじろいだ、というか、ま、それはそれとして、ひとつの世界がありました。


そんなこともあって、当時は単行本はもちろん、開高健の文庫本もたくさんありました。何を読んでも、どれを読んでも、みんな面白かったし、真似したくなるようなフレーズがあちこちに散りばめられていました。その頃、村上春樹も登場してきて、村上春樹にも熱を上げてしまったのだが、開高健村上春樹のどこに共通するものがあったのかな?で、思い出したけど、同じ頃、高橋源一郎の『さよならギャングたち』にもやられてるんだなぁ。


ネットをあちこち見ていたら、iTunesで『小学館eBooks 開高健電子全集2 純文学初期傑作集/芥川賞 1958〜1960』が、期間限定で無料でダウンロードできるという。早速ダウンロードしてみたが、なんですな、初期の傑作揃いです。
こうして読むと、開高健の昭和30年代のエッセイとか、真面目でひたむきな若さが伝わってきますね。僕が生まれる前だったりするのですが。


22日(木)
終日雨。でもちょっと気温は高め。
午前中は、お米の精米など。
午後は事務仕事。農協にいったりする。


うちの購読している新聞は地方紙だけれども、福島の原発事故の報道については、今でもわりと熱心で、1号機から4号機の現状ををきちんと知らせてくれている。そういうところは大したものだと思うけれども、TPP報道に関しては、地元に大きな自動車会社があるせいか、ずいぶん腰が引けている感じがしている。もっとも、TPPについては、大きな新聞はどこも突っ込んで書いているところはないのだけれど。
そのうちの購読紙がここ最近、戦後70年ということで、「平和の俳句」という小さなコラムを始めた。読者からの平和に関する俳句を募集して、金子兜太いとうせいこうが選者になって、毎日一句づつ紹介されはじめている。秘密保護法やら集団的自衛権のこともあって、どうも世の中が、妙な方向に走りだそうとしているからだろうか、「平和の俳句」の企画や句が気になって毎日楽しみに読ませてもらっている。
そういえば、昔、講談社から『昭和万葉集 全20巻』が出ましたね。どこだったか、図書館でページを繰り始めたら、胸が詰まるような歌が並んでいたのを覚えています。
さて、朝刊の「平和の俳句」は、たとえば、こんな具合。