現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

高橋源一郎『国民のコトバ』読了とケセン語訳

高橋源一郎『国民のコトバ』

30日(金)
農協へいったり、事務仕事したり。


31日(土)
事務仕事したり。なんとか明日の農事組合の総会の資料もできそう。


高橋源一郎『国民のコトバ』(毎日新聞社)読了。「本の時間」という雑誌に2011年10月号から2013年の2月号まで連載されたものに、加筆されたものだそうです。2015年の1月に読むと、ちょっとすでに古い感じがしないでもないのですが、楽しめました。
いろんな雑誌や本のコトバが集められているのですが、僕がいちばんおもしろかったのは「ケセン」なコトバでしょうか。山浦玄嗣『イエスの言葉 ケセン語訳』が紹介されています。山浦氏は大船渡市の病院のお医者さんということですが、聖書をずっと読んでこられたらしい。で、ふつうの聖書を読んで「意味がわからない」と思われたようです。そこで聖書をそれが書かれた当時の言葉、古代の「通俗ギリシャ語」から直接訳そうとなされたそうです。イエスは田舎の中の田舎で生まれ、そこに生きる人にもよくわかるようにしゃべった。哲学的で難解な言葉ではしゃべったりはしなかったはずだと。
それで「よそいき」の言葉でない、「自分では使わない」言葉ではなく、日常の、現実の言葉で訳されたのでしょう。


これは恩師の言葉のウケウリですが、英国のシェリーの「西風の賦」の中の「冬来たりなば春遠からじ」という漢文訓読体のフレーズは誰が訳したのか、わからないそうです。初期のアンソロジーに登場する「西風の賦」は、ほとんど口語訳なんだそうです。
仏典でも聖書でも、翻訳はいつでもどこでも、まず口語で訳されて、それがある段階で文語訳になって、人口に膾炙する方向をたどるものなのだそうです。なるほど。なんだか、ふっと胸に落ちます。


ではケセン訳、一つだけ紹介させてもらいます。


高橋源一郎は聖書に続いて、同様に、大原穣子『おくにことばで憲法を』を紹介しています。これは岩手の水沢弁らしいです。


九条の会」の呼び掛け人の一人、奥平康弘さんが亡くなられたと、今朝の新聞で知りました。
じゃ、長浜弁といういうのか、湖北の言葉で、九条をちゃんと書けるか、話せるか、となると、僕にはいささかならず荷が重いと言わねばならぬのですが。