現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

雷雨と畦畔の草刈りと鮒ずしと八代目の林家正蔵の「中村仲蔵」と『一人称単数』


雷雨20200813

13日(木)
 今日も朝飯前に畦畔の草刈りに出る。暑くなりそうなので早起きしていったが、途中でどうも雲行きがあやしくなってきて、雷さんがゴロゴロ言い始めたぞ、これはヤバいかも、と思っていたら、いきなり豪雨。さっきまではっきり見えていた目の前の小谷山が真っ白で何も見えない。というわけで予定の半分で撤収。軽トラのヘッドライトをつけて帰る。家につくと雷さんはいよいよ近づいてきてる。あっ、光った、と思った瞬間に、停電。やれやれ。
 でもどうだろう20分もかからないうちに電力は供給されはじめました。関電の工事関係の人があわてて復旧工事をしてくださったのだと思います。ありがたいことです。あとで聞いたところによると、近くの中学校の前の電柱に落雷したらしい。電線が切れて垂れ下がり、碍子(がいし)が落ちてきて、アスファルトににぶつかって粉々になっていたそうです。うーむ。


 パソコンとか家の電気機器等が大丈夫だったかちょっと心配しましたが、なんとか無事でした。


 午後もときどき陽が射したけれど、雲も多かったです。で事務仕事をしたり、作業所や車庫のサイズをメジャーで測ったり。


14日(金)
 今日も早起きして朝飯前に畦畔の草刈り。昨日の続き。それから農事組合長と大豆の防除について話をする。
 午後は農協と銀行と郵便局を回って、振込やらお金の移動やら記帳やらをする。


 坪内祐三を読んでいたら、対談の中で、ここ数年、ずっと落語ブームが続いていることについて、歌舞伎や文楽というとちょっと敷居が高いと感じる人が落語を聴いているのではないか、という話が出てきて、そういうところも無きにしもあらず、と半分思いながらも、いやいや僕なんかどうも世襲の歌舞伎役者にどうももうひとつ好感が持てないと今は思っていたりするんだなぁ。やはりたった一人でやる落語という芸、じっくりゆっくり噺を聴く、というところになにやら深みがあるような気がして(錯覚かもしれんが)、やはり落語を聴きたいと思ってしまうなぁ。
 今日だったか八代目の林家正蔵の「中村仲蔵」がラジオで流れていて、芝居噺、人情話だけれど、しみじみ聴かせるねぇ、と思ってしまいました。


 村上春樹の短編集『一人称単数』がAmazonから届いたので、読みはじめる。短編集で8作収められています。どれもみな「文学界」に発表されたものらしいですが、最後の「一人称単数」だけは書き下ろしです。
 感想は、ええ、充分に楽しめました。おもしろかったです。最初は「石のまくらに」ですが、これがあーた、短歌を詠む女性との話で。まさか村上春樹の小説に短歌が出てくるとは。短歌の善し悪しは僕にははっきりよくわかるわけではないですが、詩的で(当たり前だけど)悪くないです。「クリーム」まあ、おもしろい設定ではあるが・・・。「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」は現実にはありえないレコードをめぐる妄想小説だけれど、あたしゃ好き。「ウィズ・ザ・ビートルズ」初期の短篇の風情。「ヤクルト・スワローズ詩集」そして人生の本当の知恵は「どのように相手に勝つか」よりはむしろ、「どのようにうまく負けるか」というところから育っていく。「謝肉祭」どうだろう、この短編集の中では一番読みごたえがあったような気がする。「品川猿の告白」これもどこか初期の短篇の風情。「一人称単数」うーむ。これは長編小説のプロローグなのか?
 ま、実に心地よくなじむ文体ですな。しかし、今回は昔をよく思い出してます。