終日雨。大雨と洪水の警報が出る。どこにも出られない。午後、買い物に出たら同級生のN君が笠(かぶりがさ?)を頭につけて、濡れながら畦畔の草刈りをしていた。少なからず感動というか、心が動かされる。
マウロ・リマ監督『マイ・バッハ 不屈のピアニスト』(2020)を観る。レヴューを読んでみたら、僕と同じ感想を書き込んでいる人がけっこういた。「20世紀最高のバッハの演奏家」と聞くとグレン・グールドを思い浮かべてしまう。そしてジョアン・カルロス・マルティンスというピアニストの演奏を聴いたことがなかった。映画は本人の演奏が音源として使われていて、おもわず「うひょー!」と声をあげてしまう。速いし超絶技巧ですな。またなんとも優美なタッチもあって、心震えました。
僕はグールドでバッハを知りましたし、クラシック音楽というのも知りました。ということは、クラシック音楽はほとんどグールドしか知らない状態です。ま、無伴奏チェロ組曲は好きでよく聴きましたけれど。あ、ラフマニノフも気になっています(笑)。
リリシズムとかリリカルな演奏という表現とロマンチシズムとかロマンチックな演奏という表現の違いがどうなのか、はっきり僕には説明できないし、リリカルな演奏がロマンチックな演奏なのは間違いないですが、ジョアン・カルロス・マルティンスのバッハがロマンチックなのは間違いないし、スバラシイです。今、Appleミュージックから彼のバッハのピアノアルバムを聴いています。グールドより甘いですな。そうして華やかな響きです。たぶんそれはジョアン・カルロス・マルティンスがブラジル人でラテンの血が流れているからでしょうか。
これまで『ゴールドベルグ変奏曲』も『平均律クラヴィーア曲集』もグールドを聴いてからは、他の演奏家のを聴いてもまったく落ち着かないような気分でしたが、マルティンスのピアノはグールド以外で初めて落ち着いて聴くことができました。ジョアン・カルロス・マルティンスは1940年生まれ。グレン・グールドは1932年生まれ。マルティンスもバッハ弾きとして、グールドの影響を受けているのを、なんとなく感じます。当然ですが。
リオパラリンピックの開会式で、演奏したんですな。なるほど。映画の中で女好きっぽいエピソードがたくさん出てくるのもラテンならではでしょうか。