現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

オコナイさんと『蛇にピアス』とオールドパー

12日(月) 振替休日
 今日は村のオコナイさん。村のお宮さんにこの一年の豊作やら無事を祈念します。滋賀県湖北地方の伝統行事ですけれど、ま、これも私の組では、コロナの影響もあって、オコナイさんはしますけれど、その後の直会など親睦行事はずいぶんと簡略化されました。時代の流れでもあるのでしょうけれど・・・。
 オコナイさんの時には天気が荒れることが多い、とか言われることもあるのですが、今日も朝は雪が降り、お宮さんに集まったときも重たい積もらない雪が降ってました。すぐ霙になり、雨になりましたが。

 午後は晴れてきました。新年度になり新しいファイルを買いに出ると伊吹山が春の西日を浴びていましたので何度かパチリ、パチリと撮りました。





 蜷川幸雄監督『蛇にピアス』(2008)を観る。大河ドラマの「まひろ」以外の吉高由里子を観ようと思って観ました。2008年公開ですから16年ほど前の作品ですね。この作品でたくさんの新人賞を取ってブレイクしましたね。そのことは知っていたけれど、まだ観たことがなかったので。うーむ。どうかな(笑)。映画としてはもう一つかなぁ(笑)。2003年に金原ひとみの原作が芥川賞を受けたときのことはよく覚えていて、それは同時に受賞したのが綿矢りさの『蹴りたい背中』だったからです。当時綿矢りさは17歳の高校生の時に『インストール』で第38回文藝賞を受賞して話題の作家で、今度は大学在籍中に最年少記録で芥川賞を受けるということで、すごく話題になっていたからです。どれくらい話題になっていたかというと受賞が決まったときに、私はすぐ本屋さんで『インストール』も『蹴りたい背中』も買ったぐらいです。現役の高校生や大学生が文学賞をとったというので、どんな作品なんだろう?と思ったんですね。ええ。で、同時受賞の金原ひとみ蛇にピアス』があまり話題にあがらなかったので、なんだかなぁ、と思っていたんですね。ええ、読んでいないんですけどね。当時の私は山登りに熱心だったんですが、そんな話を高校の山岳部に所属していたT君に話したら(うーむ、その時はもう大学生になっていたかもしれない。)「僕、『蛇にピアス』読みましたよ。おもしろかったですよ。」とさりげなく返事してきたので、驚かされたという経験があるのです。T君が読書好きなのは知っていましたが、『蛇にピアス』を読んでいて、感心したのを覚えています。「ひょっとして『蹴りたい背中』も読んだ?」ときくと「読みました。」と言うので「さすがやね。」と返事したのを覚えています。
 その時にT君がおもしろかった、と言ったので、たぶん『蹴りたい背中』よりおもしろそうだと直感的に思ったけれど、金原ひとみの作品はいまのところ全部未読。でも結婚してフランスで暮らしていたと思うのですが、帰ってきたと思ったら『アタラクシア』『アンソーシャル ディスタンス』『ミーツ・ザ・ワールド』と渡辺淳一文学賞谷崎潤一郎賞柴田錬三郎賞と立て続けに作品が評価されているようですね。ええ、未読です(笑)。
 映画は2000年代の東京が映っているわけですが、みんな携帯電話はスマホでなくてガラケーですね。私はオジジなのでやっぱりピアスで耳に穴をあけるくらいなら今ではあまり抵抗もないけれど、鼻や舌に穴をあけたりタトゥーとかには、ちょっと抵抗があるかな。抵抗というか、気になってしまうということなんだけれど。

13日(火)
 午前中は精米など。午後は今年引き受けることになった役員の仕事をあれこれ。初役員会の案内をお配り申し上げる。

 今日は朝からよく晴れて、それから気温も上がってありがたい。午後など暖房は切ったけれど、陽射しで車内の温度がぐっと上がっていた。

 夕方、コンビニのお酒の棚で「オールドパー」の小瓶を見つける。200mlで800円ほど。よく観ると「Grand Old Parr Silver」とある。水割りやハイボールに向くようにブレンドされているらしい。なるほど。
 1980年の4月頃、あたしゃ『世界の名酒事典』(講談社)を買ったんだなぁ。大きなカラーの本でけっこうな値段もしたような気がするが、買ってお酒の勉強をしようと思ったんですわ。そのときに燦然と輝いて見えたのが「Old Parr」の茶色くて丸っこくてシワの入ったようなデザインの瓶でした。なぜ燦然と輝いて見えたかというと、その頃の経団連(だったと思うけど)のパーティ会場で飲まれているのは「Old Parr」だとどこかで読んだんですね。当時はたぶん経団連がどういう集まりなのかということもわかってなかったと思うけど、大企業の社長さんたちのパーティでは「Old Parr」なのか、みんな長寿だった トーマス・パーにあやかろうとしているのかな?などと高校を卒業したての私は思っていたんです。
 その後、私は岐阜県高山市のペンションでアルバイトをすることになるのですが、そのオーナーのKさんに「あこがれのウイスキーオールドパーです。」というようなことを話したら「オールドパーなの?へー、どうして?」「だって高いし、高級そうでしょ?近所の酒屋さんには売ってないですよ。」「今、うちにあるよ。飲みさしだけど。飲む?」というので、いただきました。「水割り?ロック?」と言われたけど「いえいえ、ストレートでお願いします。」というと「ふふふふ。」と笑いながらグラスにダブルぐらい入れてもらいました。Kさんは濃いめの水割りだったと思います。グビリとやると「どう?」と言われました。「おいしいです。」「そう、よかった。」「マイルドな感じ。」「うん。ツジイ君、これから楽しみだねぇ。オールドパー以外にもおいしいお酒はたくさんあるよ。おいしい料理もたくさんある。好きな女の子ができたら、デートのときにちょっとづつ料理も酒も試していけばいいよね。これから楽しみだねぇ。」と言ってもらいました。オーナーのKさんは東京でホテルマンをしていたので、たぶんいろいろお酒や料理のことも本当は詳しかったんだと思います。でもそういうことは何も言わずに二十歳のわたしに「これから楽しみだねぇ。」と言ってもらえたのが、なんだか今はとってもうれしい気がします。