現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

田植え機から堕ちたことと田植えが終了したこと


31日(土)
今日も、ものすごく暑かった。どうなっているんだ?今日の長浜の最高は29.9℃。7月中旬並、って気象庁は書いているけど、7月中旬と言えば、梅雨明けのもっとも輝かしい夏の太陽が照りつける頃ではないか。


BGMはマイクオールドフィールド。『チューブラーベルズ』ときたもんだ。それからマイルスの『死刑台のエレベータ』


今日も、終日、田植え。
で、もって情けないことに、田植え機から田んぼに堕ちる、という失態をしでかした。だいたい長靴の靴底がもうツルツルになっていて、新しい長靴を注文して、昨日届いていたのだ。アキレスのワークマスターの黄色。
で、田植え機の上で、苗箱の苗を田植え機にセットしようとしていたのだ。だから両手がふさがっていた。そこへもってきて、どうしたわけかバランスをちょっと崩した。で、踏ん張ろうとしたところが、長靴がツルンと滑ってしまったのだ。あら?と思う間もなく、右肩から田んぼに堕ちた。手には苗を盛ったままだ。右半身が田んぼに埋まり、ドロドロになってしまった。こういう時でも、なんですな、柔道をすこし経験しておくと、ちゃんとアゴを引いて、頭が泥に埋まるということはないんですな。いや、柔道の受身が役に立っているかどうかは、不明ですが。
とはいえ、堕ちたのは泥の田んぼである。痛くもなんともない。しかし、このまま右半身ドロドロで田植えを続けて、今日の暑さである。泥が固まって、動けなくなる怖れもあるので、家に帰って着替えることにする。(あ、家の近くの田んぼだったのです。)自転車で帰ったのだが、その60秒ほどはなかなか恥ずかしいというか、照れ臭いものでした。もちろん、こんな格好では、家にも上がれないので、外でシャツもズボンも靴下も脱ぎ、さすがにパンツは脱ぐ勇気がなく、パンツ一枚になったところで、シャツやズボンを外の水道で水洗いしようとした。


(間が悪いことに、どういうわけか、日本共産党の宣伝カーがうちの家の前に止まり、7月の選挙に立候補しようとしているらしい御本人が降りてきて、マイクを持って、話しはじめたではないかいな。どういうわけか日本共産党の方々は、うちの家の前でマイクをもちたがりがりなさるようなのだ。これまでにもなんどか、そういうことがあったのだ。いつもなら、それがだれであれ、目の前で選挙の立候補者が胸の内を語るのなら、たいていはしばらく話を聞いているふりくらいはするのだが、今回は、こっちはパンツ一丁だし、うちの前に人だかりがあるわけでもなく、パンツ一丁のオッサンが、一人、水道で泥だらけのズボンを洗おうとしているだけなのに、なぜに、車を停めて、演説をはじめたがるのか、日本共産党は、ご一考を願いたい。
しかし、今は選挙期間ではないが、選挙期間中に選挙カーが通れば、立候補された方は車から必ず白い手袋をはめた手を振っておられるし、声を枯らしてウグイス嬢は美しい声で名前を連呼しておられる。お供の車があったりして、お供の車からも、どなたかは存ぜぬし、どういう義理人情かも存ぜぬのだが、何人もの紳士のような方々が、手を振っておられる。私は、どの候補者であれ、ここ最近は、農業政策をよろしく、と胸の中でつぶやきながら、節操なく、分け隔てなく、田んぼからでも、選挙カーが手を振って通れば、何の躊躇もなく、手を振って見せるパフォーマンス型の有権者なので、それを見たウグイス嬢などは、「ありがとうございます。田んぼのお父さん、ありがとうございます。お仕事ご苦労様です。○○は頑張ります。農業でも頑張ります。よろしくお願いします。ありがとうございます。」などとマイクの声を一段と張り上げて、数秒で通過していくのを、田んぼからお見送りさせてもらっているだ。もし、わしが立候補者で、もし、田んぼから手を振ってくれる人がいたら、どんなにタイムスケジュールが押していようと、車をとめて、降りて、道から田んぼへ「○○です。私にできることはありますかぁ?農業のこと、応援しま〜す!」と、30秒でも聞くふりして声をかけるがなぁ。もちろん返事は期待せず、無視して、30秒で、慌ただしげに、忙しそうに、手を振って選挙カーに乗り込むのだが。)
さすがに、ドロドロの汚れたパンツ一丁の姿で、立候補予定者の方に手を振り申し上げるわけにもいかず、そそくさと、家に入らねば、と思ったわけです。(そういうわけでですので、うちの家の前で、演説を始めた日本共産党の方は、豊かさを世界に誇っている現代の日本で、日本の農業者は、いまだにかくも貧しい姿で働かなければならないのか、と誤解しないように。いや、あながち誤解でもないのだけれど。)


しかし、なんですな。調子の悪いことに、ズボンの右のポケットにはいつもスマホを入れているのです。ドロドロのズボンのポケットからスマホを出してみたら、予想通り、直接泥に沈んだわけではないが、すでにドロドロだ。もうこうなったら仕方がない。一応ケースに入れているし、タッチパネルには、シートも貼ってある。水道水で、ジャバジャバと4秒間(けっこう長いです。勇気がいります。)水洗いして、泥を流し、すぐにタオルでくるんで水滴を拭く。きれいになったところで、これまたすぐに電源を切る。電気機器は水に濡れたら電源を切ったり、電池を抜いたりするのが基本だが、スマホの電池は抜けないので、電源を切って、乾かさなければならない。幸い、なんとか電源が切れた!その後、陰干し。
で、僕自身は、風呂場にはいって、シャワーを浴びた。
田植えを再開して、今日の分の田植えと田回りを終えて帰ってきたら、表面上は、スマホも乾いている。これはこれは、と電源を入れてみたら、ちゃんと動くではないですか。ラッキー!と思ったのも束の間、音が出ない!あれれ?
よく見てみると、イヤホンをつないでいないのに、イヤホンがつないだことになっている。というわけでイヤホンジャックをのぞいてみると、・・・(笑)。泥がびっしりつまっているではないですか。なるほどな。iPhoneは、イヤホンジャックに、泥がつまっているのに、イヤホンが差し込まれているとかんちがいしているんだな、と。
イヤホンジャックにつまった泥は、どうやってきれいにしたらいいんですかぁ?とりあえず耳かきの要領でつまようじで泥をほじってみました。
Apple関係者はしっかり返事するように。


あ、iPhoneの同期をしようと、コネクタを差し込んだら、ここも泥がつまっているのかな?コネクタを認識しない。これでは充電もできないぜ。はてさて、と思いつつ、何度も抜き差しを繰り返していたら、やっと認識してくれました。この調子ならイヤホンの方もそのうち、うまくいくかも。


iPhoneユーザーのみなさん。iPhoneは、田んぼの泥に弱いので、田んぼの泥に関する知識のないかたは、iPhoneを田んぼの泥に沈めるというようなことを決してなさらないように。(一晩たったら、イヤホンジャックの中の泥も乾いたのか、音も復活して出るようになりました。やれやれ。)


新しい黄色い長靴が届いたことは、先に書いたが、実はもう一つ、ほぼ日から井上有一の「雨にも負けず」の扇子が、今日届いて、さっきから広げてパタパタしている。雨にも負けず、風にも負けず、褒められもしないかわりに、苦にもされない、そういう存在こそ、理想ではあるかもねぇ、と、ニヤニヤしながらパタパタしている。
だって、いくら暑いとはいえ、5月からこの部屋に冷房を入れるのには、いささか抵抗がある。しかしすでに熱中症になられた方がたくさんおられるようですから、気を付けなくては。


1日(日)
終日、田植え。で、田植え終了しました。やったー!うれしい!しかし、今日も暑かったですねぇ。
午前中は通常の田植え。午後は、今年取り組んだ湛水直播の具合があまりよくないので、そのまま田植えをしてしまうことにしたのだ。お隣の畦畔からの漏水で、播種後、完全に土が乾かなかったところが、どうもうまく芽が出てきていない。畦回りの一株か二株、それと中央部も三ヶ所くらい、丸い池のようになってしまっている。いや、ひょっとするともう少し待っていれば、生えてくるのかもしれないが・・・。何年か前にそういう直播きの田んぼを見たことがあるのだ。でも、今年は同じ「コシヒカリ」の苗がずいぶん余ってしまって、この田んぼ一枚を植えるくらいの量の苗があるので、このまま捨ててしまうのなら、植えてしまおう、と言うことにしたのだ。要するに、今年の湛水直播は失敗、ということですな。うーむ。
代かきをしてからずいぶん時間も経っているので、土が締まって、田植え機の車輪が泥を持って上がってくると厄介なので、ダブルになっている後輪をシングルの車輪にして、田植え。もったいないことではあるのだが・・・。
そんなこんなで、午後、比較的早く田植えが終わったので、ざっと田植え機を水洗いして、しばし休憩。のはずがゆっくりしすぎて、おかげで夕方の田回りが少し遅くなってしまって、あたりには薄闇が。でもまあ、日没後の田んぼの風景も美しい。iPhoneでは暗いところの写真は、レンズが小さいので、極端に悪くなりますな。