現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

水たまりと宝石


畑のイチゴが生りはじめたようで。今年の初物です。
今年は5月5日に田植えをはじめた。だから田植えして一週間になります。その最初の圃場を今朝散歩の途中で眺めると、条間が少し緑色になっている!なんと雑草が生えはじめているのだ。うーむ、これはいかん、と慌てる。農協に出荷する敢行栽培の圃場なので、除草剤をやるのだが、、このところの高温と浅水管理で、草(たぶんヒエ)が生えてきたのだ。慌てて水を入れ除草剤を投げ入れる。湛水状態で投げ入れると、水面で表面張力を利用するのか、薬剤が広がっていきます。
ところが明日は雨という予報です。しかもひょっとすると強い雨になるかも、などと言っている。除草剤を入れて、大雨になって水が尻水戸からオーバーフローすると、せっかくの薬剤が流れてしまうことになりますね。でもすでに緑色に見える状態になってきているのに、何もしないわけにもいかないので、すこし水深は浅めで、尻水戸の板は高めにしておいて、雨でも水が流れないようにしました。さて、どうなるか。穏やかな雨になりますように。雨は日付が変わる頃から降り出すという予報です。いやはや。

そうそう。明日が雨らしいので、苗代に苗箱を並べられそうもないので、発芽機の電源を切って、温度を下げる。といっても、今日は24.5度まで上がり六月上旬並の気温だったのですが。うまく調節して日曜日に苗代に並べられるようにしたい。さて。うまくいくのかな?


午後はトラクタのアタッチメントをドライブハローからロータリーに付け替えて、「こなし」にでる。今年から初めて作らせてもらう圃場なので、あれこれ確認しながらの作業になりました。


一昨日、アマゾンに注文した『現代詩文庫 杉山平一詩集』(思潮社)が届く。いいですね。いいです。現代詩なんですが、なんともこの平易さは。ざっと読むと短い詩とともに長い散文詩も多いし、またこれがいいですね。そのうち紹介したいです。
というわけで、今日も二つだけ紹介させてください。短いやつを。二つとも昭和四十二年。1967年に出た詩集『声を限りに』から。




    夜


   疲れ切つて 仰向けに寝る
   おれは水たまりだ
   うつし出される一日の記憶に
   はずかしくなり
   首をまげ 手足をちぢめ
   大地の闇にに吸われて 消えてゆく




     一家


   子供が入学試験をしくじつた
   火鉢をはさんで お母さんは元気づけてゐた


   お父さんは お風呂場で
   お姉さんは お台所で
   庭ではお兄さんが犬と 星を見ながら
   泣いてゐた




自分の子供がなにか、しくじったとき、親として、家族として、どう対応すればいいのか。自分がしくじったとき、親や家族はどう反応してくれたか。ま、一口に「しくじり」といっても、いろいろありますが。他人と比較することもできないですが、わりとしくじりの多い人生かも。って、みんなおんなじかも(笑)。


「おれは水たまりだ」に激しく共感!この隠喩。ああ、詩とは比喩ですな(笑)。直喩で大好きなのは「(覆された宝石)のやうな朝」という西脇順三郎の「天気」の一節だ。あたしは、初夏になったりして、というか夏至が近づいてきたりして、目が覚めたときには、窓から陽射しが差し込んでいたりして、すでに世の中に陽光があふれていたりするような朝。一人、こっそり、 (覆された宝石)のやうな朝 と頭にの中で口ずさんで、犬の散歩につきあうことがあるのだ(笑)。今夜は「おれは水たまりだ」と思いつつひっくり返ることになるかも(笑)。
夜は水たまりだが、朝は宝石だ。