現代田んぼ生活 辻井農園日記

滋賀県の湖北地方で完全無農薬有機栽培米の「コシヒカリ」と「秋の詩」と「みどり豊」を作っている辻井農園のブログです。安心して食べていただけるおいしいお米をつくっています。

有機の稲刈りと乾燥機のトラブルと『MINAMATA-ミナマタ-』と『グッドモーニングショー』と「Forever Young」


有機JASの圃場の稲刈り。他のプロの農家ならこういう圃場をどう観るか。なんでも正直になりたがる私です。黄色いのは「コシヒカリ」が登熟しているからです。緑色のところは「コシヒカリ」より上に伸びたヒエです。手前を観ると条間にもちょっと雑草が生えているのがわかります。コナギとクログワイあたりですね。畔際にはクサネムが多くて、苦労しました。クサネムの黒いタネはなかなか乾燥調整の作業の中で取り除きにくいからです。サイズとか比重がコメと似ているんですね。色は黒いので色彩選別機ではじけるんですが、色彩選別機も完璧ではありませんので。今年、中耕除草は3回はいりました。もちろん除草剤は使っていません。化学肥料も使っていませんが、有機肥料分もあまり入れていませんので、まあ、肥料分が少ないのはその通りです。穂の粒の数は少なめですが、一粒のサイズはわりと大きめです。3回中耕除草に入れたので、株も有機JASの稲としてはそこそこ太い気がします。たぶんタンパクが少なめで、おいしいお米になっていると思います。という、私、耕作者の分析です。

9日(土)
 午前中に軽トラにガソリンを入れたり、また携行缶にも買ってくる。今日からガソリンスタンドのガソリンが補助金の関係か3円ほど安くなった。それでまあガソリンスタンドも朝からけっこうな混雑。
 籾殻を田んぼにもっていき、お昼前から稲刈り。今日は比較的雑草の少ない圃場なのでありがたかったが、それでもやはり畔際のクサネム取りに追われる。

 夕方、アンドリュー・レヴィタス監督『MINAMATA-ミナマタ-』(2020)を観る。2020年2月21日にベルリン国際映画祭で公開されたけれど、その後、すったもんだもあって日本での公開は2021年の9月でしたね。いえ、と言ったからといって、公開時に観ているわけではないです。でも話題になっていたのは知っています。地元の反応も微妙だったようですね。時間が流れていますからね。
 私は1980年代の終りに二度、修学旅行で水俣を訪れています。知覧にも行きました。修学旅行ですから、事前学習が必要です。水俣病の患者さんのお話を聴いたり、石牟礼道子の『苦海浄土』を読んだり。ユージン・スミスに『MINAMATA』の写真集があることは知ったけれど、写真集そのものは観ていません。未だに。なんどか写真集の一部は雑誌やメディアを通して見たことがありますが・・・。
 映画はですね、久し振りに、何度か泣けました。ええ、加齢で涙もろくなってきているのは充分承知しています。暗室作業のシーンが何度か出てきます。学生時代に恩師から写真と暗室作業の手ほどきを受けました。たぶん、それが以後の私の人生に大きな影響を与えています。それからジャーナリズムとは何か、ということも意識させられます。水俣病は、化学会社チッソが引き起こした産業公害です。メチル水銀を含む工場排水が水銀中毒を引き起こしました。あとやはり今の福島の汚染水というか処理水というか、の海洋放出が頭に浮かんでしまいます。
 強いものが弱いものを痛めつける構図というのは、いたるところにありますが、社会や産業や暮らしと密接に繋がっているものですから、強いものの中に弱いものがいたり、弱いものの中に裏切り者がいたり、理不尽に暮らしを崩壊させられたり。単純な構図ではないんですけどね。そういうことは『苦海浄土』で知りました。『苦海浄土』を課題図書にして感想文を高校生が書いたのですが、一人の女子生徒が、一度も「水俣」とも『苦海浄土』とも感想文の文中に書かずに、公害の起こる構図やそれが長年放置されてきた仕組みを書いてきてびっくりしたのを覚えています。
 でもそういう苦しみを訴えることを通して、また裁判を通して、社会というか世の中がちょっとづつ動いて変わっていったことは確かです。それでもまだ理不尽なことを押し付けられている人が出てきていることに胸が痛んだりするのですが。
 出演している役者もジョニー・デップ真田広之、美波、國村隼などなど豪華です。映画は楽しめたし良かったけれど、いくつか気になったところはありました。それは事実とは違うところで、まあ、アメリカの映画なので仕方ないところ、映画を盛り上げるための脚色なんでしょうけれど、こういうドキュメンタリー風の映画だと気になります。でも久々にいい映画を観た気分です。

 あと挿入歌で ボブ・ディランの「Forever Young」が一瞬流れるのですが、ここも泣けました。詳しくは書きませんけれど。
 歌の歌詞を書いてみるなんて、学生時代以来のようなきがしますが、悪くないです。ま、もう少し上手な字だといいのですが。辞書を引き引き、高校生なら意味はなんとなくわかりますわね。たぶん私もわかったんだと思います。だから覚えていたんだろうし。ディランも息子のことを思って書いた歌詞だそうです。父親としてはよくわかりますよ。苦労はするだろうけど、正直にやって、信頼され、信用もされて、友達ができ、人を助けることも、人から助けられることも経験して、誠実に、勇敢に生きてほしい。いくつになっても学び成長し続ける若者の心をもっていてほしい。どの地域であろうと、いつの時代でも、親の願いはかわりません。
 

youtu.be

 大学の一般教養の英語の時間にカート・ヴォネガットの短編小説を読んだのですが、”may”の使い方、意味のところで 祈願の意味だということの説明が先生からありました。そこで先生から質問がでて、結婚式なんかでI hope you both have long and happy lives! とかMay you both have long and happy lives!(あなたたち2人が長く幸せに暮らしますように )なんて祝福の言葉がありますが、とどっちが硬い表現、あるいはくだけた表現かな?と。もちろん僕はすぐにわかったのですが(いや、ほんま)、教室の学生が誰も答えないので、先生はイライラした表情と声で、ボブ・ディランの「Forever Young」を紹介されたのでした。「Forever Young」は知っていたので、むひひひひ、となったのですが、ああ、この先生はこういうことでイライラされるんだ、と思ったことを覚えています。先生の名前は覚えていません。なぜ「Forever Young」だったのかも、説明はあったはずですが覚えていません。

 そういえば、先日、君塚良一監督『グッドモーニングショー』(2016)を観る。主演は中井貴一のコメディ。うん?コメディだよね(笑)。テレビ番組の制作現場を舞台にしているので、あれこれ知らないことも多くておもしろかったが、うーむ、ま、もうひとつかな。どうにも薄っぺらい感じがするのだが、まあ、中井貴一なのでそこが味なのだろうけど。
 テレビのワイドショーとか、あまりもう観ないからなぁ。気象情報だけは気になるので、お天気おねーさんの出るニュースの天気予報は観ているけど。最近はNHKのニュース番組もワイドショー的なところもありますよね。お天気おねーさんでは近藤奈央さんがいちばんいいです(笑)。なんとなくおっちょこちょいなのに落ち着いている感じを出そうとしているところが好きです(笑)。カープの新井監督もそうですが、どうも私はおっちょこちょいな人は好きみたいです。なんでかな?あんまり人柄の裏表を感じさせないムードがあるからかな?おっちょこちょいだって、人に見せるところ見せないところ、裏表は当然もっているのですが。

10日(日)
 今日は、参りました。
 午後から雨が降るかもしれない、という予報でしたので、早起きして籾擦りをして、早めに稲刈りに出ようと思っていたのですが・・・。

 早起きして乾燥が上がった籾を乾燥機から排出していましたら、突然、乾燥機がダウンして、あちこち籾が詰まりました。仕方がないので、詰まった籾を掻き出して詰まりを解消。でスイッチを入れて動かしてみたけれど、またもや過負荷の表示が出て動かない。スイッチを入れるたびに、シャッターベルトが動いて、籾が落ちてくるので、また籾を掻き出さないといけなくなることの繰り返し。どうしようもないので、農機センターのK君に来てもらうが・・・。うーむ。メーカーの技術者と話を何度もしてあれこれ電気関係の基盤まで試してくれましたが、解決にならず。それで乾燥機のメーカーの人に来てもらうことに。で、大阪ナンバーのクルマで来てもらって、一時間。あちこち籾のつまりの確認からあれこれやって、最後はテスターでモーターに来ている電圧も調べてもらって、どうやら電圧が足りていないことが判明。三相の200Vなんですが、コンセントにつなぐ電線の断線が原因だと判明。「なにか交換できる線はありませんか?」と言われて、精米機でつかっている5mの延長コードを使ってもらう。動きました!「良かった!うれしいです!」と申し上げると「はい。私もうれしいです。」という返事でした。やれやれ。断線だったのか。もう一時は、今年乾燥機が動かなければ、これから半月ほど、どうなるんだろう?と心底心配しましたが、なおって良かったです。ありがたいです。
 ま、明日から仕切り直しで頑張る予定です。

 あれ?大相撲がはじまった。プロ野球カープの優勝はちと難しくなりました。ラグビーが今日、20時から初戦ですね。